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person ヨツ葉の職人

朝、静まり返った工場の扉を開ける。
少しツンとくる、でも柔らかな油の匂いが鼻孔を通り抜けていく。

昼間は絶えず音がしている騒がしいこの場所も、
今この時はまだ静寂を保っている。
導入したばかりの最新のマシンも、年代物の工作機械も、
ぼんやりとした薄明かりの中、
動き出す時が来るのををじっと待っている。

コーヒーを少し飲んでから、今日の作業を確認する。
今日つくるのは、小さな金属部品だ。
一つひとつの部品をつくるのは、慣れてしまえばそんなに難しくはない。
それでも、精度を保ちながらいくつもの部品をつくるのは、
根気と集中力が要求される簡単ではない作業だ。

この小さな金属部品は、他の工場でつくられる
他の部品と共に製品に組み込まれやがて世界の人の手に渡る。
今、この瞬間も、行ったことのない国の、
出会ったこともない人の生活の中に、この部品が存在しているかもしれない。
そう思うと、この小さな部品をつくる仕事がちょっとすごいことに思えてきたりもする。

そんな想像に一旦区切りをつけて、機械の電源を入れる。
― 今日もいいものづくりをしよう
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